仏壇を新しく購入した時や仏壇を引越しさせる時には仏壇の「開眼供養(かいげんくよう)」をすることになります。
「開眼供養」は「魂入れ(しょういれ)」や「お性根入れ(しょうねいれ)」と言うこともあります。
※浄土真宗では「魂」という概念が無く、本山からご本尊にお越しいただくという考え方のため、開眼供養や魂入れとは言わず「入仏法要」と言います。
これから仏壇の開眼供養・魂入れを控えているあなたが今気になっているのが、当日準備をしなくてはいけないものや当日の服装ですよね。
お任せください。元業界人の私がしっかりとお答えします。
準備するものについては宗派ごとに異なってきますので、宗派ごとに解説いたします。
- 仏壇の開眼供養・魂入れを行う際に宗派ごとに準備するもの
- 仏壇の開眼供養・魂入れに参列する時の服装のマナー
編集長「こまど」こんにちは。「葬送情報局」編集長のこまどです。Googleの検索ボリュームを見ていると、「仏壇 開眼供養 お布施」や、「仏壇 魂入れ お布施」というキーワードで検索されている方が意外と多いことに気が付[…]
仏壇の開眼供養・魂入れを行う際に準備するもの
それでは宗派毎に準備するものを見ていきましょう。
天台宗の場合
天台宗で準備するもの
天台宗の仏壇の開眼供養・魂入れで準備するものは以下になります。
- 仏壇
- ご本尊(釈迦如来)
- 仏具一式(経机・おりん・木魚・燭台・香炉・花立・線香立て・火消し)
- 朱ロウソク(開眼供養では白いロウソクは使用しません)
- 線香
- 火をつけるもの(マッチやチャッカマン、ライターなど)
- お餅
- 赤飯
- 海の幸(乾燥昆布やワカメなどでOKです)
- 山の幸(干しシイタケなどでOKです)
- 里の幸(根菜や季節の果物など)
- お花(菊の花で大丈夫です。分からない場合は花屋で開眼供養用のお花が欲しいと伝えてもOKです。予算は3,000円程度で。)
- 御神酒(日本酒。コンビニのカップ酒でもOKです。)
- お米(普段食べているお米でOKです。炊く前の状態で。)
天台宗で使用する数珠
数珠も宗派によって種類や持ち方が変わります。
天台宗の場合は「楕円形の平べったい珠が連なった平数」を用意します。
下記は天台宗の数珠の参考写真です。
持ち方は親指と人差し指の間に数珠をかけ、手の中に数珠を包むように持ちます。そして弟子玉を下に垂らして持ちます。
下記は天台宗の数珠の持ち方の参考写真です。
天台宗の線香の立て方
天台宗では線香を1本または3本立てます。
1本の場合は香炉の真ん中へ1本立てて終わりです。
3本立てる場合は真ん中に立てた線香の後ろ側の左右に立て、三角形のような形にします。
天台宗のお焼香の仕方
天台宗のお焼香は下記の手順で行います。
- 合掌し一礼する
- 右手の親指・人差し指・中指の3本で香をつかむ
- 左手を右手にそえながら手を額に近づける
- つかんでいた香を香炉に入れる
- 合掌し一礼する
以上が一般的な天台宗のお焼香の仕方になります。
天台宗では焼香をする回数についての決まりは特にありません。
動画で見る天台宗のお焼香の仕方
真言宗の場合
真言宗で準備するもの
真言宗の仏壇の開眼供養・魂入れで準備するものは以下になります。
- 仏壇
- ご本尊(大日如来)
- 仏具一式(経机・おりん・木魚・燭台・香炉・花立・線香立て・火消し)
- 朱ロウソク(開眼供養では白いロウソクは使用しません)
- 線香
- 火をつけるもの(マッチやチャッカマン、ライターなど)
- お餅
- 赤飯
- 海の幸(乾燥昆布やワカメなどでOKです)
- 山の幸(干しシイタケなどでOKです)
- 里の幸(根菜や季節の果物など)
- お花(菊の花で大丈夫です。分からない場合は花屋で開眼供養用のお花が欲しいと伝えてもOKです。予算は3,000円程度で。)
- 御神酒(日本酒。コンビニのカップ酒でもOKです。)
- お米(普段食べているお米でOKです。炊く前の状態で。)
真言宗で使用する数珠
数珠も宗派によって種類や持ち方が変わります。
真言宗では親玉が2つ付いた数珠を用意します。
下記は真言宗の数珠の参考写真です。
真言宗の数珠の持ち方は、両手の中指に数珠をかけ、そのまま手を合わせ、房の部分が手の外側に垂れるように持てばOKです。
右手の中指と左手の人差し指に数珠をかけ、房が手の中に納まるように合掌する派もあります。
下記は真言宗の数珠の持ち方の参考写真です。
真言宗の線香の立て方
真言宗では線香を3本立てます。
香炉の真ん中に1本立て、その後ろ側の左右に立てて三角形のような形にします。
真言宗のお焼香の仕方
真言宗のお焼香は下記の手順で行います。
- 合掌し一礼する
- 右手の親指・人差し指・中指の3本で香をつかむ
- 香をつかんだ手を額に近づける
- つかんでいた香を香炉に入れる
- 上記の2~4を3回行う
- 合掌し一礼する
以上が一般的な真言宗のお焼香の仕方になります。
真言宗では焼香を3回するという決まりになっています。
動画で見る真言宗のお焼香の仕方
浄土宗の場合
浄土宗で準備するもの
浄土宗の仏壇開眼供養・魂入れで準備するものは以下になります。
- 仏壇
- ご本尊(阿弥陀如来)
- 仏具一式(経机・おりん・木魚・燭台・香炉・花立・線香立て・火消し)
- 朱ロウソク(開眼供養では白いロウソクは使用しません)
- 線香
- 火をつけるもの(マッチやチャッカマン、ライターなど)
- お餅
- 赤飯
- 海の幸(乾燥昆布やワカメなどでOKです)
- 山の幸(干しシイタケなどでOKです)
- 里の幸(根菜や季節の果物など)
- お花(菊の花で大丈夫です。分からない場合は花屋で開眼供養用のお花が欲しいと伝えてもOKです。予算は3,000円程度で。)
- 御神酒(日本酒。コンビニのカップ酒でもOKです。)
- お米(普段食べているお米でOKです。炊く前の状態で。)
浄土宗で使用する数珠
数珠も宗派によって種類や持ち方が変わります。
浄土宗は他の宗派と異なり、数珠を人差し指と親指の間にかけます。
そのため「小さめの数珠の輪が2つ連なったもの」を用意します。
下記は浄土宗の数珠の参考写真です。
持ち方は数珠を二重にし両手の親指と人差し指の間にかけ、房が下に垂れるように持ちます。
下記は浄土宗の数珠の持ち方の参考写真です。
浄土宗の線香の立て方
浄土宗では線香を1本~3本立てます。
1本の場合は香炉の真ん中へ1本立てる。または2つに折り横にして置きます。
2本~3本の場合は線香を折らずに真ん中に寄せて立てます。
浄土宗のお焼香の仕方
浄土宗のお焼香は下記の手順で行います。
- 合掌し一礼する
- 右手の親指・人差し指の2本で香をつかむ
- 左手を右手の下にそえながら手を額に近づける
- つかんでいた香を燃やす(焼香する)
- 合掌し一礼する
以上が一般的な浄土宗のお焼香の仕方になります。
浄土宗の場合は焼香の回数に決まりはありません。
動画で見る浄土宗のお焼香の仕方
臨済宗の場合
臨済宗で準備するもの
臨済宗の仏壇開眼供養・魂入れで準備するものは以下になります。
- 仏壇
- ご本尊(釈迦如来)
- 仏具一式(経机・おりん・木魚・燭台・香炉・花立・線香立て・火消し)
- 朱ロウソク(開眼供養では白いロウソクは使用しません)
- 線香
- 火をつけるもの(マッチやチャッカマン、ライターなど)
- お餅
- 赤飯
- 海の幸(乾燥昆布やワカメなどでOKです)
- 山の幸(干しシイタケなどでOKです)
- 里の幸(根菜や季節の果物など)
- お花(菊の花で大丈夫です。分からない場合は花屋で開眼供養用のお花が欲しいと伝えてもOKです。予算は3,000円程度で。)
- 御神酒(日本酒。コンビニのカップ酒でもOKです。)
- お米(普段食べているお米でOKです。炊く前の状態で。)
臨済宗で使用する数珠
数珠も宗派によって種類や持ち方が変わります。
臨済宗の場合は「弟子珠が付いていない、玉の数が108個のもの」を用意します。
下記は臨済宗の数珠の参考写真です。
持ち方は数珠を二重にして左手にかけ、房が小指側の下に垂れるように持ちます。右手は左手に添えるだけ。
下記は臨済宗の数珠の持ち方の参考写真です。
臨済宗の線香の立て方
臨済宗では線香を1本立てます。
香炉の真ん中へ1本立てればOKです。
臨済宗のお焼香の仕方
臨済宗のお焼香は下記の手順で行います。
- 合掌し一礼する
- 右手の親指・人差し指・中指の3本で香をつかむ
- そのまま香を香炉に入れる
- 合掌し一礼する
以上が一般的な臨済宗のお焼香の仕方になります。
臨済宗では焼香の回数は1回。つかんだ香を額に押し上げても押し上げなくてもOKとなっています。
動画で見る臨済宗のお焼香の仕方
曹洞宗の場合
曹洞宗で準備するもの
曹洞宗の仏壇開眼供養・魂入れで準備するものは以下になります。
- 仏壇
- ご本尊(釈迦如来)
- 仏具一式(経机・おりん・木魚・燭台・香炉・花立・線香立て・火消し)
- 朱ロウソク(開眼供養では白いロウソクは使用しません)
- 線香
- 火をつけるもの(マッチやチャッカマン、ライターなど)
- お餅
- 赤飯
- 海の幸(乾燥昆布やワカメなどでOKです)
- 山の幸(干しシイタケなどでOKです)
- 里の幸(根菜や季節の果物など)
- お花(菊の花で大丈夫です。分からない場合は花屋で開眼供養用のお花が欲しいと伝えてもOKです。予算は3,000円程度で。)
- 御神酒(日本酒。コンビニのカップ酒でもOKです。)
- お米(普段食べているお米でOKです。炊く前の状態で。)
曹洞宗で使用する数珠
数珠も宗派によって種類や持ち方が変わります。
曹洞宗の場合は「弟子珠が付いていない、玉の数が108個のもの」を用意します。
下記は曹洞宗の数珠の参考写真です。
持ち方は数珠を二重にして左手にかけ、房が小指側の下に垂れるように持ちます。右手は左手に添えるだけ。
下記は曹洞宗の数珠の持ち方の参考写真です。
曹洞宗のお焼香の仕方
曹洞宗のお焼香は下記の手順で行います。
- 合掌し一礼する
- 右手の親指・人差し指・中指の3本で香をつかむ
- 左手を右手の下にそえながら手を額に近づける
- つかんでいた香を燃やす(焼香する)
- もう一度、右手の親指・人差し指・中指の3本で香をつかむ
- 今度はつかんだ香を額に近づけずに、そのまま香炉に入れる
- 合掌し一礼する
以上が一般的な曹洞宗のお焼香の仕方になります。
他の宗派と異なり、1回目はつかんだ香を額に近づけ、2回目は額に近づけないというようにやり方が変わるため注意が必要です。
動画で見る曹洞宗のお焼香の仕方
日蓮宗の場合
日蓮宗で準備するもの
日蓮宗の仏壇開眼供養・魂入れで準備するものは以下になります。
- 仏壇
- ご本尊(釈迦如来)
- 仏具一式(経机・おりん・木魚・燭台・香炉・花立・線香立て・火消し)
- 朱ロウソク(開眼供養では白いロウソクは使用しません)
- 線香
- 火をつけるもの(マッチやチャッカマン、ライターなど)
- お餅
- 赤飯
- 海の幸(乾燥昆布やワカメなどでOKです)
- 山の幸(干しシイタケなどでOKです)
- 里の幸(根菜や季節の果物など)
- お花(菊の花で大丈夫です。分からない場合は花屋で開眼供養用のお花が欲しいと伝えてもOKです。予算は3,000円程度で。)
- 御神酒(日本酒。コンビニのカップ酒でもOKです。)
- お米(普段食べているお米でOKです。炊く前の状態で。)
日蓮宗で使用する数珠
数珠も宗派によって種類や持ち方が変わります。
日蓮宗の場合は「108個の珠に2つの親珠、そして4つの四天珠が付いたもの」を用意します。
下記は日蓮宗の数珠の参考写真です。
持ち方はちょっとややこしいので注意が必要です。
まず数珠を8の字にねじり、左手側には房が3本、右手側には房が2本垂れるように持ちます。
下記は日蓮宗の数珠の持ち方の参考写真です。
日蓮宗の線香の立て方
日蓮宗では線香を3本立てます。
1本を香炉の真ん中に立て、その後ろ側の左右に立てて三角形のような形にします。
日蓮宗のお焼香の仕方
日蓮宗のお焼香は下記の手順で行います。
- 合掌し一礼する
- 右手の親指・人差し指の2本で香をつかむ
- 左手を右手の下にそえながら手を額に近づける
- つかんでいた香を香炉に入れる
- 上記の2~4を3回行う
- 合掌し一礼する
以上が一般的な日蓮宗のお焼香の仕方になります。
日蓮宗は他の宗派と異なり、香をつかむ時の指が2本なので注意が必要です。
動画で見る日蓮宗のお焼香の仕方
浄土真宗の場合
冒頭で述べたように、浄土真宗では開眼供養と言わず「入仏法要」と言います。
また、浄土真宗は大きく分けて「お西さん」と呼ばれる「浄土真宗本願寺派」と「お東さん」と呼ばれる「真宗大谷派」があり、それぞれ数珠の持ち方などに違いがあります。
浄土真宗で準備するもの
- 仏壇
- ご本尊(阿弥陀如来)
- 仏具一式(経机・おりん・木魚・燭台・香炉・花立・線香立て・火消し)
- 朱ロウソク(開眼供養では白いロウソクは使用しません)
- 線香
- 火をつけるもの(マッチやチャッカマン、ライターなど)
- お餅
- 赤飯
- 海の幸(乾燥昆布やワカメなどでOKです)
- 山の幸(干しシイタケなどでOKです)
- 里の幸(根菜や季節の果物など)
- お花(菊の花で大丈夫です。分からない場合は花屋で開眼供養用のお花が欲しいと伝えてもOKです。予算は3,000円程度で。)
- 御神酒(日本酒。コンビニのカップ酒でもOKです。)
- お米(普段食べているお米でOKです。炊く前の状態で。)
浄土真宗で使用する数珠
浄土真宗では決められた数珠の形式がありません。自由に選んでいただいて大丈夫です。
浄土真宗本願寺派の数珠の持ち方
浄土真宗本願寺派では数珠を二重にして、房を小指の下側に垂らして持ちます。
下記は浄土真宗本願寺派の数珠の持ち方の参考写真です。
真宗大谷派の数珠の持ち方
真宗大谷派では数珠を二重にして合掌した手にかけます。そのあと房を親指と人差し指の間から出して左手の甲側に垂らします。
下記は真宗大谷派の数珠の持ち方の参考写真です。
浄土真宗の線香の立て方
浄土真宗では線香を立てません。
1本の線香を2つか3つに折ってから火をつけ、それを香炉に横にした状態で置きます。
浄土真宗のお焼香の仕方
浄土真宗本願寺派の場合
浄土真宗本願寺派のお焼香は下記の手順で行います。
- 合掌し一礼する
- 右手の親指・人差し指・中指の3本で香をつかむ
- そのまま香を香炉に入れる
- 合掌し一礼する
以上が一般的な浄土真宗本願寺派のお焼香の仕方になります。
浄土真宗系では香を額まで押し上げないのが特徴です。
動画で見る浄土真宗本願寺派のお焼香の仕方
真宗大谷派のお焼香は下記の手順で行います。
- 合掌し一礼する
- 右手の親指・人差し指・中指の3本で香をつかむ
- そのまま香を香炉に入れる
- 上記の2~3を2回行う
- 合掌し一礼する
以上が一般的な真宗大谷派のお焼香の仕方になります。
浄土真宗系では香を額まで押し上げないのが特徴です。
浄土真宗本願寺派との違いは、真宗大谷派では焼香を2回行う点です。
動画で見る真宗大谷派のお焼香の仕方
仏壇の開眼供養・魂入れに参列する時の服装のマナー
仏壇の開眼供養・魂入れに参列する時に、服装で迷ったら「礼服(喪服)」を着ていけば間違いありません。
ただし、男性の場合は礼服(喪服)を着ていく場合でもネクタイは「白ネクタイ」を着用します。
理由は開眼供養・魂入れとは慶事、つまりお祝い事の席なので黒いネクタイはNGです。
喪服を着ていけば間違いはありませんが、開眼供養の服装については特にこれといった決まりがありません。
ですので、喪服はちょっと…という場合は紺色などの落ち着いた色の派手すぎない平服でも問題ありません。
靴やカバンも黒や落ち着いた色のものにしましょう。
女性の場合はアクセサリーも派手なものは付けず、白か黒のパールにしておくと無難です。
私がお坊さん派遣(僧侶派遣)会社に勤めていた時もよく開眼供養のお坊さん派遣の依頼がありました。
そして服装についての質問もよくいただきました。
私が宗派別に何人かのお坊さんに尋ねたところ、皆さん「服装はなんでも大丈夫ですよ。落ち着いた色だと無難ですね。」といった回答でしたのでご安心ください。
まとめ
宗派ごとに仏壇の開眼供養・魂入れで準備するもの、用意する数珠、お焼香の仕方などは上手く伝わりましたでしょうか。
準備するものは普段家に無いものもあったりします。
前日に慌てて用意しようとしてもたまたまお店で売り切れていたりすることもありますので、余裕をもって準備したいところです。
また、自分の家の宗派が分からないという場合もあるかと思います。
そういう時は来てくれるお坊さんに何を用意しておけばいいか素直に尋ねても大丈夫ですよ。