「檀家なんですが、お坊さん派遣のサービスは利用できますか?」
これは私がお坊さん派遣(僧侶派遣)会社に勤めていた時に、お客様からよく聞かれた質問です。
結論から言うと、「基本的に利用できない」ものだと思ってください。
お坊さん派遣(僧侶派遣)サービスは基本的に非檀家さん向けのサービスとなっています。
檀家だがお坊さん派遣(僧侶派遣)サービスを利用したいと派遣会社に伝えると、大抵の場合断られると思って間違いありません。
ただし、檀家でもお坊さん派遣(僧侶派遣)サービスを利用する裏技が存在します。
知りたい方はぜひこの記事を読み進めてください。
- 檀家でも「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用する裏技
- 檀家が「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」の利用を断られる理由
- 檀家が「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用すると起こる可能性のあるトラブル
編集長「こまど」の実績
- 年間10,000件以上の葬送サービスのご相談を対応
- 年間3,000件以上のお坊さん(僧侶)の派遣実績
檀家でも「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用する裏技3選
檀家でも「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用する裏技をご紹介します。
ただし、後述しますが「利用すると起こる可能性のあるトラブル」もあります。
檀家でどうしてもサービスを利用したいという方は、そちらも併せて読んだうえで利用をご検討ください。
裏技1.檀家であることを徹底的に伏せる
裏技の1つ目は、お坊さん派遣(僧侶派遣)会社へ問合せ・相談をした際に、ご自身や実家がどこかのお寺の檀家であるということを徹底的に伏せるというものです。
正直、会社からするとお客様から「実は檀家なんです」という自己申告が無ければ、お客様が檀家か非檀家かの判別はできません。
そのため、どうしてもサービスを利用したい場合は実は檀家であるということを徹底的に伏せてください。
「お寺やお坊さんとの繋がりが無いので利用したい」と派遣会社へ伝えれば利用することができるはずです。
裏技2.菩提寺に「他のお坊さんに来てもらうこと」の許可を取る
裏技の2つ目は、菩提寺(読み:ぼだいじ ※檀家になっているお寺のこと)に「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用することの許可を取るという方法です。
というのも、派遣会社からすると、できれば檀家にもサービスを利用してほしいというのが本音です。
それでもサービス提供を断られるのは、お客様と菩提寺の間や、派遣したお坊さんとお客様の菩提寺との間でのトラブルを避けるためです。
このトラブルは、菩提寺に黙って他のお坊さんを呼ぶことで起こることがほとんどです。
逆に言うと、菩提寺に許可を取っていればトラブルを避けることができます。
- 檀家と菩提寺の地域が離れている
- 菩提寺が多忙で手が回らない
- 菩提寺が病気療養等のやむを得ない事情で動けない
など様々です。
菩提寺が県外にある場合などは、意外と「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用する許可が出やすいようです。
実際、私が勤めていた時はコロナ禍だったこともあり、菩提寺の方から「今はいけないから近くのお坊さんに頼むか、派遣サービスを利用してほしい」と言われた檀家も多数いらっしゃいました。
ですので、一度菩提寺に相談すると意外とあっけなく許可が出ることもあります。
裏技3.他宗派のお坊さんを派遣してもらうように依頼する
裏技2では「菩提寺に許可を取る」という方法をお伝えしました。
ですが私の経験上、檀家で「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用されたいという方の多くは、「菩提寺と話もしたくない」「菩提寺には知られたくない」と仰っていました。
となると「菩提寺に許可を取る」という方法は使えませんね。
そこで最終手段的な裏技ですが、派遣会社に「菩提寺とは違う宗派のお坊さんを派遣してもらうよう依頼する」という方法があります。
同じ宗派のお寺やお坊さんは横の繋がりが強く、「もしも他のお寺の檀家の法事に自分が行ったことが知られるとバツが悪い」と派遣するお坊さんに断れることがほとんどです。
そのため、派遣会社に事情を説明し、「どうしても菩提寺には頼みたくないから他の宗派でもいいからお坊さんを派遣してほしい」と伝えてみてください。
派遣会社によっては断られるかもしれませんが、少なくとも私が勤めていた会社ではお客様の事情を汲んで他宗派のお坊さんを派遣することもありました。
以上が『檀家でも「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用する裏技』になります。
檀家が「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」の利用を断られる理由
せっかくお金を払ってサービスを利用すると伝えているのに、檀家だと派遣会社に断られてしまう理由はなんだと思いますか。
理由は主に3つです。
- 第一に「お客様が後々菩提寺との関係が悪くなってしまうことを心配している」からです。
- 第二に「派遣したお坊さんに迷惑が掛かる可能性があるため」です。
- 第三に「派遣したくても登録しているお坊さん側に断られてしまうため」です。
1つずつ説明していきますね。
理由1.お客様が後々菩提寺との関係が悪くなってしまうことを心配している
菩提寺がいるにも関わらず、菩提寺に黙って他のお坊さんを呼んだことがバレてしまうと、はっきり申し上げて「お客様が菩提寺に嫌われてしまう」事態になります。
そうなると、例えば「親族の葬儀(お葬式)に出てくれない」「戒名を付けてくれない」「お寺にあるお墓に納骨させてくれない」ということが起こりえます。
派遣会社からすると、せっかくサービスを利用してくださったお客様が、そのせいで菩提寺との関係が悪くなりトラブルに発展するような事態になってほしくないという思いでいます。
そのため、檀家へのサービス提供は基本的にお断りしているのです。
理由2.派遣したお坊さんに迷惑が掛かる可能性があるため
この業界はお坊さん同士やお寺同士の繋がりが強く、特に同じ宗派の場合はその繋がりが非常に強いという特徴があります。
例えばお客様と同じ市内に菩提寺がいるが、菩提寺に知られたくないので別の市からお坊さんに来てもらったという場合でも、そのお坊さんと菩提寺は良く顔を合わせる関係ということも良くあります。
そして、お客様も派遣されたお坊さんも話していないのに、どこからかそのお坊さんがお客様の法事に出たということが菩提寺の耳に入る可能性があります。
すると、派遣されたお坊さんが菩提寺に「なぜうちの檀家の〇〇さんの法事にあなたが出席したのか」と責められてしまうということがあります。
そうなると、派遣会社が檀家の家にお坊さんを派遣したせいで、そのお坊さんと菩提寺との関係が悪くなったということになり、お坊さんに迷惑が掛かってしまいます。
こういった事態を避けるために派遣会社は檀家へのサービス提供を基本的にお断りしています。
理由3.派遣したくても登録しているお坊さん側に断られてしまうため
理由2でお伝えしたように、お坊さん同士やお寺さん同士は繋がりが強く、特に同じ宗派の場合はその繋がりが非常に強いという特徴があります。
そのため、「菩提寺がいる檀家からの依頼なんですが…」とお坊さんに伝えると「他のお寺の檀家さんの法事にはいけないよ。菩提寺の許可が出ているなら別だけど」というように断られてしまうのです。
私が勤めていた会社に登録していたお坊さんには上記のように断られていましたが、他のお坊さん派遣(僧侶派遣)会社でも同様かと思います。
檀家が「お坊さん派遣(僧侶派遣)」の利用を断られるのは、上記のように派遣会社が派遣をしたくても派遣できるお坊さんがいないためということですね。
檀家が「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用すると起こる可能性のあるトラブル4選
檀家でも「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用する裏技1で、「檀家であることを徹底的に伏せる」という方法をお伝えしました。
この方法を使うと、確かにその場では菩提寺ではないお坊さんを派遣してもらうことができますが、もしもそのことが菩提寺にバレると様々なトラブルに発展する可能性があります。
私が実際に聞いたことがあるトラブルをいくつかお話しします。
- 葬儀(お葬式)をやり直しさせられた
- 法外な戒名授与料金を請求された
- お寺のお墓に納骨させてもらえない
- お墓じまいを強制させられた
1つずつ詳しくお話ししますね。
トラブル1.葬儀(お葬式)をやり直しさせられた
菩提寺に黙って「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用してご葬儀(お葬式)のお坊さんを呼んだというお客様。
後日そのことが菩提寺の耳に入ると、「菩提寺を呼ばずに葬儀をするなんてありえない。葬儀をやり直せ」と言われ、泣く泣くご葬儀(お葬式)をやり直したというお話を聞きました。
お坊さんに支払うお布施が高額になることを見越し、「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用して安く済ませようと思ったそうです。
その方は結果的に「ご葬儀(お葬式)2回分の料金+お布施」という費用が掛かってしまい、余計高くつくということになってしまいました。
トラブル2.法外な戒名授与料金を請求された
こちらもご葬儀(お葬式)に菩提寺を呼ばなかったことが後でバレてしまったケースですね。
こちらはご葬儀(お葬式)のやり直しはさせられなかったそうですが、代わりに菩提寺から非常に高額な戒名授与料金(もう一度葬儀(お葬式)ができるくらいの金額)を請求されてしまったそうです。
トラブル3.お寺のお墓に納骨させてもらえない
上記のトラブル1.2については、「そんなの言われても断ればいいじゃない」と思う方もいらっしゃるでしょう。
ですが断ると、この「お寺のお墓に納骨させてもらえない」というトラブルに発展しかねませんので注意が必要です。
「菩提寺であるうちが葬儀に出ていないのに、うちの寺にある墓に納骨なんてさせない」というスタンスで断られてしまったという話を聞きました。
ということで、ご葬儀(お葬式)をやり直すか戒名授与料金や納骨のためのお布施といった形で和解を目指すということになります。
トラブル4.お墓じまいを強制させられた
これは、私が勤めていた会社でお墓じまいをお手伝いさせていただいたお客様の話です。
菩提寺さんに黙ってご葬儀(お葬式)を「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用して済ませていたそうです。
すると、菩提寺から「新聞で訃報見て驚きました。葬儀も済ませたそうですね。うちにあるお宅のお墓を〇月までに撤去し、お骨も他へ移動させてください。」という趣旨の手紙が届いたということでした。
そのためやむなくお墓じまいをすることとなり、お墓じまいのご相談をいただいたというお客様でした。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
檀家でも「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」を利用するための裏技を3つご紹介させていただきました。
ですが基本的に、「ご葬儀(お葬式)を菩提寺に黙って行い、その後もずっと知られずにいる」ということは難しいだろうということは本記事で紹介したトラブル例を見てもらえば伝わったかと思います。
どうしても利用したい場合は、3回忌以降の法事や、離檀(読み:りだん ※檀家を辞めること)を前提に「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」の利用を検討されるのがよろしいかと思います。