この記事は私有地にお墓が建っていて、墓じまいを検討されている方向けの手順書になっています。
- 墓じまいをしたいけど何から手をつければいいか分からない
- 墓じまいをするには何を準備すればいいか分からない
- 墓じまいの手順・流れを知りたい
正直、私有地に建っているお墓の場合、墓じまいの手続きは非常に簡単です。
公的な手続きは「改葬許可申請」のみになりますし、その手続き自体も墓地管理者=土地の所有者=あなたなのでとっても楽ちんです。
- 私有地にお墓が建っている方
- お墓じまいを何から始めれば良いか分からない方
- お墓じまいの準備を進めたい方
編集長のこまどが実際に全国のお客様のお墓じまいをお手伝いしてきた経験を元に解説しますので、かなり実践的なハウツーになっています。
既に墓じまいをすることを決めている方にも、まだ検討段階の方にも有益な内容となっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
編集長「こまど」の実績
- 年間10,000件以上の葬送サービスのご相談を対応
- 年間2,000件以上の「墓じまい」のご相談を対応
- 年間300件以上の「墓じまい」を施行
お墓じまいの手順は墓地の種類によって異なりますので、私有地以外にお墓をお持ちの方は下記のページから該当する墓地を選んで墓じまいの手順をご確認ください。
編集長「こまど」こんにちは。「葬送情報局」編集長のこまどです。お墓じまいは「色々と手続きややらなくてはいけないことが複雑で大変」というイメージがあるかと思います。ですが内容を整理をしてみると、やらなくてはいけ[…]
私有地が墓地になっているのはどんなケース?
日本における墓地とは、「墓地、埋葬等に関する法律」という法律によって定められています。
この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可をうけた区域をいう。
この文面からすると、例え私有地であっても好き勝手に墓地とすることはできず、都道府県知事の許可をもらう必要があります。
現代では個人宅の庭や敷地といった私有地を墓地として認めることはほぼ無いと思ってもらって差し支えありません。
しかし現実として田舎の実家の敷地にお墓が建っているといったことがありますが、それらのお墓は違法なのでしょうか。
答えは「違法ではありません」。
私有地に建っているお墓は、上記の法律が施行された昭和23年5月31日以前に建立されたものです。
法律は施行される以前のことについては罪に問われない性質を持っています。
これを「遡及処罰禁止の原則(そきゅうそばつきんしのげんそく)」と言います。
というわけで、私有地であっても昭和23年5月31日以前に建てられたものはそのまま現在でも維持して問題ないということになります。
私有地の墓じまいの手順
私有地に建てているお墓の場合は墓地を運営管理している人はいません。
厳密にはその土地の持ち主であるあなた自身、もしくはあなたのお父さんやお母さん、または祖父や祖母が墓地管理者になります。
私有地に建っているお墓の墓じまいをする時は、下記の手順に沿って進めていくとスムーズです。
- 遺骨の改葬先の永代供養墓や納骨堂を探す
- 墓じまい工事費用の見積りを取る
- 改葬先の契約をする
- 改葬許可証を取得する
- 見積りを取った中から工事を依頼する石材店を決める
- お墓の閉眼供養(魂抜き)を行う
- 工事着工&遺骨を受け取る
- 遺骨を改葬先へ納骨する
1.遺骨の改葬先の永代供養墓や納骨堂を探す
まず最初のステップは墓じまいした後の遺骨を移す先を探すことから始めます。
遺骨を今納骨されているお墓から取り出して、他の納骨先へ移すことを「改葬(かいそう)」と呼び、次の納骨先を「改葬先」と呼びます。
改葬先を決めておかないと、お墓を撤去した後に遺骨の置き場に困ってしまいます。
親族にも「墓じまいしてここに改葬しようと思うんだけどどうかな?」と提案しやすくなりますので、まずはある程度改葬先の目星をつけておきましょう。
- 永代供養墓
- 納骨堂
- 別のお墓
費用の安さを重視するのであれば、「永代供養墓」をオススメします。
永代供養墓は1柱につき(※柱=遺骨の単位)3万円~5万円で納骨することができ、その後に掛かる費用もありません。
納骨堂の相場は数十万円~百万円、お墓を新しく建てるには石代だけで50万円~数百万円+お墓を建てる土地代が数十万円~百万円近く掛かることを考えると永代供養墓は非常にリーズナブルですね。
永代供養墓について詳しくは下記の記事をご覧ください。
「永代供養墓のメリット・デメリット+全国の価格の安い永代供養墓の探し方」について詳しく解説しています。
編集長「こまど」こんにちは。「葬送情報局」編集長のこまどです。永代供養墓(えいたいくようぼ)というとどんなイメージがあるでしょうか。最近は霊園でも永代供養墓を取り扱っているようですが、一昔前までは「永代供養墓[…]
2.墓じまい工事費用の見積りを取る
改葬先の目星が付いたらお墓の撤去処分工事の見積りを取りましょう。
工事費用を安く抑えるコツの1つは必ず相見積りを取るということです。
編集長「こまど」こんにちは。「葬送情報局」編集長のこまどです。「お墓じまい費用を少しでも安く済ませたい!」そんなお声にお応えして、元葬送サービス業界でお墓じまいのお手伝いをしていた私がお墓じまい費用を安く済ま[…]
3.改葬先の契約をする
墓じまい工事費用の見積りが取れたら改葬先の契約をしましょう。
見積りを取る前に改葬先を契約してはいけません。
契約を済ませてしまっていると、万が一工事費用が高額で墓じまいを断念しなくてはいけなくなった場合、改葬先の契約費用が無駄になってしまいます。
墓じまい工事費用+改葬先の費用が予算内に収まっているようであれば改葬先の契約をし、次のステップへ進みます。
4.改葬許可証を取得する
遺骨を改葬するには、市区町村役場に発行してもらう「改葬許可証」という書類が必要になります。
「改葬許可申請書」という書類に申請者と墓地管理者の署名・捺印が必要になります。
私有地の場合は申請者も墓地管理者もその土地の所有者になりますので、深く考えずにあなたが署名・捺印すれば問題ありません。
公営墓地の場合は「墓地使用許可証」という書類が必要で、その書類の名義人が亡くなってしまっている場合は承継手続きをしないといけないなど、多少面倒な手続きがあります。
また、共同墓地と呼ばれる墓地では墓地管理者がその地域の自治会になっているので探すのが大変という難点があります。
私有地はそういった手続きや難点が一切無く、市区町村役場でもらえる改葬許可申請書に必要事項を記入すればいいだけなのでとっても楽ちんです。
ちなみに、改葬許可証の申請には改葬先の情報も必要になるため、改葬先は先に契約を済ませておく必要があります。
改葬許可証取得方法の詳しい流れについては下記の記事を参照ください。
編集長「こまど」こんにちは。「葬送情報局」編集長のこまどです。お墓じまいを検討されている方は「改葬許可証(かいそうきょかしょう)」という言葉を聞いたことがあるかと思います。でも「具体的な取得方法についてはイマ[…]
5.見積りを取った中から工事を依頼する石材店を決める
改葬許可証を発行してもらったら墓じまい工事を依頼する石材店を決めましょう。
見積りを取った中から気に入った石材店を選び依頼します。
6.お墓の閉眼供養(魂抜き)を行う
墓じまい工事を着工する前に、もう一つやらなくてはいけないことがあります。
それが「閉眼供養(へいがんくよう)」や「魂抜き(しょうぬき)」と言われる儀式です。
この儀式はお坊さんにお経をあげてもらい、お墓の供養をするというものです。
「自分は無宗教だから…」と閉眼供養をしたがらない方もいますが、できるだけ行うことを推奨します。
というか、しないと石材店が工事をしたがりません。
菩提寺がいる場合は菩提寺に閉眼供養を依頼しましょう。
菩提寺がいなかったり、菩提寺が遠方で閉眼供養をお願いするのが難しい場合は「お坊さん派遣(僧侶派遣)サービス」がオススメです。
お坊さん派遣(僧侶派遣)サービスとは菩提寺がいない方向けにお坊さんを派遣してもらえる現代的なサービスです。
- 檀家になる必要はない
- 低額の明朗価格で安心
といったもので、お坊さんに依頼する不安要素を排除してくれています。
値段の分からないお布施ではなく、明朗かつ低価格なサービス料金となっている点が利用者から喜ばれています。
編集長「こまど」こんにちは。「葬送情報局」編集長のこまどです。一昔前は画期的だと思われたお坊さん派遣(僧侶派遣)サービスですが、今では多くの派遣会社が存在します。そうなると困るのは選択肢が多くてどのお坊さん派[…]
閉眼供養当日はお坊さんにサービス料金をお布施として渡すことになるので、事前に用意しておきましょう。
編集長「こまど」こんにちは。「葬送情報局」編集長のこまどです。ご葬儀や法事・法要、お仏壇・位牌・お墓の開眼供養(魂入れ)や閉眼供養(魂抜き)など、お坊さんにお願いをしてお布施を渡す場面は多岐に渡ります。場[…]
7.工事着工&遺骨を受け取る
お坊さんに閉眼供養をしてもらったら工事着工となります。
事前に石材店にも閉眼供養の日程を伝えておき、それ以降の日程で工事日を調整してもらいましょう。
墓地管理者があなたなので、きちんとあなたの目で工事の完了を見届けることをオススメします。
予め石材店に大体の完了時間を確認し、終わるころに見に行けば大丈夫です。
遺骨も受け取ることになりますが、自宅や改葬先が遠くて持ち帰るのが大変という場合は「送骨(そうこつ)」という手があります。
「送骨」とは遺骨をゆうパックで郵送することです。
「え?遺骨って郵送できるの?」と驚かれる方もいらっしゃるかと思いますが、法的に何の問題もありませんので安心してください。
編集長「こまど」こんにちは。「葬送情報局」編集長のこまどです。突然ですが、あなたは「遺骨は郵送できる」ということをご存じでしょうか。遺骨の郵送方法を知っていると下記のような場合に役に立ちます。 遠方[…]
8.遺骨を改葬先へ納骨する
墓じまい工事が無事に完了したら、後は遺骨を改葬先へ納骨すれば全てのステップが完了となります。
改葬先には「遺骨」と「改葬許可証」を忘れずに持参しましょう。
遺骨を改葬先へ送骨している場合は、改葬許可証のみ持参するか、改葬許可証を改葬先まで郵送します。
まとめ
私有地の墓じまいの手順はいかがでしたでしょうか。
時間があれば「公営墓地」や「共同墓地」の墓じまい手順も見てみください。
他の墓地と比べると私有地がどれだけ簡単なのかが良く分かると思います。
墓じまいについてお困りの方はぜひお気軽に下記お問合せフォームからご相談ください。
お墓が遠方にある場合でも大丈夫です。